木製模型から始まったハセガワのプラモデルについて

ハセガワというプラモデルの会社を知っていますか?プラモデルの製作会社としては、同じ静岡にあるタミヤやアオシマと並んで有名です。ハセガワは木製の模型飛行機から始めて、その後調査を重ねて収集した膨大な資料を基に実物を忠実に再現したプラモデルを製作してきました。

ハセガワのプラモデルの特徴や歴史について紹介しましょう。


プラモデル製作で知られるハセガワという会社の概要

ハセガワは、太平洋戦争が始まる1941年に長谷川製作所という名前で静岡県焼津市において創業しました。静岡はその後プラモデルのメッカとなる土地で、タミヤやアオシマもこの地でプラモデルの製造に専念することになります。

創業者の長谷川勝呂氏の名前を取って長谷川製作所いう社名になりました。創業当時はグライダーなどの木製模型を作っていましたが、戦後1962年にプラスチックモデルの生産を開始し、飛行機のプラモデルの販売で商機を得ることになります。

1966年に当時ベトナムで活躍していたアメリカ軍戦闘爆撃機F4ファントム2の72分の1スケールを発売したところ、これが予想以上に売り上げを伸ばし大ヒットとなりました。これを契機として「飛行機のハセガワ」という方向性が定まってきたと言われています。

その後、1971年には32分の1スケールの零戦52型を売り出しました。このモデルは最初の零式艦上戦闘機「12試単戦」を設計した堀越二郎氏が製造に関わった精密な構造になっています。ちなみに、堀越二郎技師はジブリ映画の「風立ちぬ」の主人公のモデルとなった人です。

52型は終戦間際に実戦的な改造を施したモデルで、堀越氏が開発したスマートな12試単戦とは少し違う姿でしたが、堀越氏は全面的に協力し美しい機体の再現に貢献しました。また、1971年には艦船模型で700分の1スケールのウォーターラインシリーズというヒット商品を開発しました。

ウォーターラインシリーズとは、艦船の喫水線から下の部分を水平に切り取り。平面に置くとちょうど水面上に出ている船体部分だけが現れるように見えるモデルのことです。海面上を航海する艦船をリアルにジオラマで再現できるウォーターラインシリーズは、飛行機に次ぐヒット商品となりました。

そして、2000年には社名を長谷川製作所からハセガワに変更しました。ハセガワのプラモデルの特徴は、緻密な歴史考証と情報収集により実物の正確な形状を把握し、細かい部分まで実物を忠実に再現している点にあります。

金属加工や木製の部分については、プラスチックを用いずに別の素材を使用するなど細部に渡ってリアルさを追及しています。パーツは必要以上に多くならないよう配慮がされており、初心者でも組み立てやすくなっています。

さらに、部品同士の組み合わせ部分がピタリと合致するよう精密に作り上げられていて、接着剤を付けなくても凹凸をはめ込むだけで合わせ目がフィットすると言われています。一方で、中身の精巧さにこだわるのに、箱のイラストは細かい部分まで精密に描かれたものが少なく、宣伝力に欠けるという批判を受けています。

タミヤの箱のように絵を見ただけで買いたくなるような工夫をすれば、もっと子どもたちの関心をひきつけることができるのかもしれません。

「プラモデルの箱は邪魔になりがち!みんなはどうしているの?」

飛行機

「飛行機のハセガワ」で知られる通り、ハセガワの飛行機のプラモデルには、他のメーカーの追随を許さないこだわりと独特の味があります。特に零式艦上戦闘機のような第2次大戦に使用された軍用機は多種類の製品が売り出されており、戦闘機以外にも爆撃機・偵察機・雷撃機などあらゆる機種がそろっています。

また、外国機についても、アメリカのP51ムスタング・P47Dサンダーボルトからドイツのメッサーシュミット Bf109G6 ・フォッケウルフFw190Dに至るまで有名機が製造されています。真珠湾攻撃から70年が経った2011年には、1/48スケールの零式艦上戦闘機21型・99式艦上爆撃機11型・真珠湾攻撃総指揮官の淵田大佐が乗った97式艦上攻撃機の3機がセットになって発売されました。

デカールは第1航空戦隊の赤城・加賀、第2航空戦隊の飛龍・蒼龍、第5航空戦隊の翔鶴・瑞鶴の全ての所属部隊に対応しており、1941年12月8日の仕様を正確に再現している限定販売品です。

なお、ファンの熱望にも関わらずこの時期以降の発売はありません。

ジオラマ

ハセガワは細かい戦闘シーンなどを再現するジオラマセットも充実しています。中でも、 アメリカ軍や日本軍の野営セット が好評で、精密に作られたドラム缶・ジュリカン・対戦車障害物などが入っています。組み立て方が決められているプラモデルと異なり、セットの好きな場所に軍用品を置いて戦場を再現できるので、配置を考えるだけでも楽しめるキットです。

ドラム缶・ジュリカンなどは戦車に取り付けたりトラックに乗せたりすれば、軍用車両と組み合わせてジオラマを作ることができます。戦場キットだけでなく、平時のキットもあります。それはハセガワ建機シリーズという製品で、建設作業員が働く舗装工事を再現したキットです。

作業員のフィギュアは4体あり、レーキ作業員・プレート作業員がスコップ作業員の指示の下一輪車作業員と協力して舗装工事を行うという場面設定になっています。もちろん現場の状況は自由に変えることが可能です。リアルに作られた振動ローラや油圧ショベルも付いています。

また、毎年5月にはホビーショーを開催してプラモデルやオリジナルのジオラマの仕上がり具合を競うコンクールも行われており、ハセガワのプラモデルファンが全世界から集う場になっています。

戦車

戦車も種類は多く、ドイツの4号戦車タイガー・5号戦車パットンやアメリカのM4シャーマンなど有名な機種はそろっています。しかしながら、飛行機より安価な製品が多い分、航空機ほどの精緻な作りが期待できないという声も聞かれます。

特に飛行機では選択できるほど充実したデカールが戦車には不十分で、1度貼り間違えるともうスペアとして使えるデカールがないという事態に見舞われます。また、72分の1シリーズは千円以内で買えますが、戦車のキャタピラがゴム製で短すぎて車輪にはまらなかったり、強く引っ張ってはめようとして切れたりするトラブルの報告がされています。

ゴム製のキャタピラの接合部分を熱処理で結合させるよう指示がありますが、実際にはハンダゴテなどで加熱してもうまく装着できず、結局瞬間接着剤に頼らざるを得ないことも珍しくありません。とは言え、ハセガワの戦車の値段は700円から6万円まで幅広くあり、高価なものはパーツをニッパーで切り離す際に出てくるバリすらないほどでハセガワの製作技術の高さをうかがい知ることができます。

艦船

ハセガワが艦船に力を入れ始めたのは、戦艦大和の売れ行きが好調になってきた時期からでした。

その後、戦艦大和シリーズについては、終戦70周年記念の2015年に450分の1スケールの豪華版が、メーカー初回受注限定生産という形で発売されました。

このモデルは1945年4月に沖縄特攻に向かう際の最後の大和の戦闘配備を再現したもので、対空戦闘に備えた甲板上にはハリネズミのように機銃が並んでいます。元々艦船の450分の1シリーズは、船体が大きい割に部品が少なくて初心者にも作りやすいと好評でした。

戦艦大和も例に漏れず、精巧な作りであるのにパーツがシンプルで組み立てやすく、その上値段も3千円ほどとリーズナブルでプラモデルを始めるときに最初に挑戦する艦船モデルとしてファンに愛されてきました。さらに、一回り大きい350分の1シリーズの長門などもレイテ海戦時のモデルがあります。

この製品も艦橋に取り付けられたハンモックから弾薬箱まで細かく作られている逸品です。また、700の1ウォーターラインシリーズも戦艦以外に航空母艦赤城や巡洋艦最上など数々のヒットを飛ばしました。ただし、モデルの要となるエッジングパーツや木製甲板シールが別売りのため、塗料と併せるとプラモデルの倍の費用がかかることも否定できません。